2020年9月21日、22日に開催されました、第14回日本CAOS研究会・第26回日本最小侵襲整形外科学会において、「3次元的画像解析によるnavigation併用股関節鏡視下骨軟骨形成術の精度評価」が優秀Web presentation賞をいただきました。
日頃の稲葉教授のご指導、およびテーマをくださった小林直実先生、ご協力いただいた方々に感謝いたします。
この研究は、小林直実先生が大学で行っていた、股関節鏡手術にCT-based Navigationを組み合わせて正確なCam切除を行う手法の精度検証が基になっています。
Cam病変が大腿骨頸部のどの位置にあり、実際にどのくらい切削しているのか、Navigationの精度はどのくらいかということを、3次元的に計測、評価した結果を示しています。本研究で用いた手法により、骨頭からどのくらい離れた位置の、どの方向に、どのくらいのCam病変が存在し、またどのくらいの深さ切削できたのかを、再現性をもって定量化することが可能です。
3D slicer(www.slicer.org) というソフトウェア上で作業するのですが、いざ手順を決めてやり始めたはいいのですが、大変な手数を要する作業になりました。
(1)大腿骨近位部のCT画像を1枚1枚Segmentation(骨の部分を塗る)して、モデルを作る。1例100枚前後。
(2)大腿骨軸を計算。膝関節上顆軸を計算、二つの軸を通る平面を計算
(3)大腿骨軸に垂直な平面を4つ、所定の場所に作成。その断面での画像をみながら、1例につき4x24ポイントで、3モデル(術前、計画、術後)の測定を行う。
1例100枚x18例のSegmentation作業に加えて、4x24x3x18 = 5184 データの計測を行うわけですが、当然一人でやっていると暗い気持ちになってくるので、同じグループの安部先生に手伝ってもらい、ようやくデータが出そろいました。
先日賞状が届いたので、共同研究者の一人である安部先生と一緒に撮影した写真がこちらになります。
Segmentation作業は地味でつらい「修行」のような仕事ですが、骨を立体化してみると新たな発見があります。放射線技師さんに作ってもらったのと違い、好きな角度でみることができますし、立体データを取り出して、3Dプリンターで実体化することもできます。
しばらくは3D関係の仕事を続けていく所存です。今後とも何卒宜しくお願い致します。
横浜市立大学整形外科 助教 大庭 真俊