湘南鎌倉人工関節センターに国内留学しております、H26卒の渡部慎太郎と申します。この度、第47回日本骨関節感染症学会にて、私の論文「Differences in Diagnostic Sensitivity of Cultures Between Sample Types in Periprosthetic Joint Infections: A Systematic Review and Meta-Analysis」が大正富山アワードを受賞しましたのでご報告致します。
本研究は、昨年の骨関節感染症学会でシンポジウムに指名されたことから始まりました。大学院生の時に人工関節周囲感染の細菌培養に関する研究を行っておりましたので、その内容を発表しようと思っていたのですが、指導医であるセンター病院の小林直実先生にご相談したところ、「せっかくシンポジウムで発表するのだから、何か新しい研究をしよう!」とご提案いただきました。
そこで今回、「人工関節周囲感染の診断において検体の種類は細菌培養の精度に影響するか?」というテーマでシステマティックレビューとメタ解析を行いました。その結果、関節液は細菌培養の感度が低く、インプラントを超音波処理したsonication fluidは感度が高いということが分かりました。よって、臨床でよく耳にする「関節液の培養が陰性だから感染ではないよ」という言葉は不適切であることになります (1/3は偽陰性になってしまいます)。この結果を英語論文としてまとめ、The Journal of Arthroplastyにアクセプトされ、今回の受賞となりました。
大学院卒業後、論文を書くことから遠ざかっておりましたが、改めて論文を書くのは(意外と?) 楽しいということに気づきました。今後も臨床・研究に邁進して参りますのでご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
また湘南鎌倉人工関節センターの平川院長に受賞の報告をしたところ、お寿司をご馳走していただきました。ありがとうございました。
最後に、今回の研究にあたりご指導いただきました直実先生、加茂野さん、崔先生、稲葉教授にこの場を借りて感謝申し上げます。
学会は島根で開催されました。出雲大社にもお参りし、良いご縁があるように祈ってまいりました。